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犬猫の「しあわせなお買い物」で笑うのは誰か!?

昨年あたりから「猫ブーム」が盛り上がっている。飼育数が犬に迫っている点を切り口にテレビや書店では愛らしい姿があふれ、経済効果すら話題になっている。その裏で、衝動買いをあおる生体販売ビジネスが巨大化して無責任な飼い主が増え、捨てられたペットの無残な死が多発するなど、闇の部分も広がりつつある。不幸な猫や犬の保護を24年続けてきた女優でタレントの杉本彩さんに、ブームの内幕を聞いた。
杉本さんが啓発目的で設立した公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」は昨年秋、悪質なペットショップの裏側を描くアニメ動画「しあわせなおかいもの?」を公開。今月に入って、杉本さんの著作「それでも命を買いますか?  ペットビジネスの闇を支えるのは誰だ」も発売された。

■ 生体販売ある限り、殺処分は無くならない

――「しあわせなおかいもの?」は勇気ある作品ですが、広告スポンサーに支えられているテレビで仕事されているお立場で、ここまで告発して大丈夫かなと感じました。描写も日本人の精神性には厳しいですし。

よく言われます(笑)。ただ、生体販売は現在、ものすごく非人道的で、無責任極まりない状態です。せめて最低限の真実を知って欲しいと考え、長さを2分半に抑えてアニメにしました。このビジネスの背景にどんな闇があり、加害者になりかねない実情を知れば多分、買わなくなると思います。それでも「関係ないわ」と言われたら、本当にそれまでですけどね。

ただ、このビジネスがある限り無責任な飼い主が生まれ、身勝手極まりない理由で安易に捨て、殺処分も無くならないのは否めない事実です。動画制作に携わった全ての人が、この作品に思いを持ってくれました。昨年11月にベルリンで開催された「CICLOPE(シクロペ)」という海外広告賞のアニメ部門では日本勢で唯一、最終選考まで残りました。

 ――確かに、小さな子犬や子猫が定期的な競り市(オークション)で適切なケアもせず大量調達されてペットショップに並ぶ実情や、かわいい盛りが過ぎて売れ残ると遺棄・殺害したり、劣悪な環境下で子供を産ませ続けるケースがあることは、ほとんど知られていません。

このほど発売の新刊では、2014年度に国内流通した犬猫は約75万匹で、うち2.3万匹が流通過程で死亡したという、朝日新聞と「AERA」の報道を紹介しました。しかし、あの数字はあくまで業者の自己申告。こうした数字に含まれない例として、ブリーダーから直接、こんな話を聞きました。 売り物にならない子犬が産まれたらすぐに首をひねって処分するのですが、その前に愛護団体に電話して「今からひねるけど、要る?」「鳴門海峡に今から捨てに行くけど、持ってく?」などと言って引き取らせるそうです。まさに確信犯ですが、連絡するだけまだ良いのかも。

行政による殺処分は、ボランティアが引き取って里親を探すのが増えたことを主因に減り続け、2014年度に犬猫計で10万1338匹になりました。でも、これとは別の「民間による殺処分」はこれ以上の規模ではないでしょうか。無計画な大量生産に大量のロスが伴うのは、市場の常です。 ――きちんとした店を見分けるコツはありませんかね。「この子の母親の写真を見せて」と店員に言ってみて、反応を見るとか。あるいは動物愛護法で説明が義務付けられている18項目を知っているか聞くとか。

日本ではあまりトレーサビリティーを気にせず、賞味期限と消費期限の違いすら知らない人が多かったりします。食の問題でさえこうなのだから、かわいい犬や猫を見て舞い上がっている状況で、そこまで冷静になれる人はそもそも、ペットショップで買わないはずです。

だから、ペット購入に高い税金を課したり、飼い主になる場合は特定の講習を義務付けたりすべきでしょう。保護団体への課税は免除できますし。

■ ブームの負の側面、絶対に出てくる

――保護活動を長年続けてきた中で、何か変化を感じていますか。

良くなった点は行政や民間の施設から里親に引き取られる犬や猫が増えたことくらい。逆に悪くなったのは、大手参入で生体販売ビジネスが巨大化した点。ペットショップがショッピングセンターの客寄せをしている面もあるようですし、「抱っこさせたら勝ち」で衝動買いさせ無責任な飼い主を増やしています。

――今回の新刊を書かれたのは、状況が切迫している危機感からだとの見方は当たっていますか。

当たってます。「猫ブーム」の負の側面がこれから絶対出てくると懸念しています。「飼育が楽だから」というペット業界の売り込みを鵜呑みにして、猫と暮らし始める人が急増するかもしれませんしね。本当は決して、飼うのは楽じゃないのですが。

 

――ペットフード協会の2015年統計による犬の生涯飼育平均コストは122万円(平均余命14.5歳)、猫は67万円(同15.4歳)です。飼い主へのアンケートに基づく数字で、医療費なども入っているというのですが。

前からその数字に違和感がありました。実際の飼育経験からすると最低限の話じゃないかな、と。私の猫の保護・飼育歴は24年、犬は6年。猫に関する経験は長く、ほぼあらゆる問題にぶち当たったと言えるほどです。犬はまだ勉強中ですが。 ――一方、関西大学の宮本勝浩名誉教授が2月にまとめた「ネコノミクスの経済効果」資料によると、昨年1年間の猫の飼育費は平均11万円強でした。この額に国内飼育数987万匹を掛けた1.1兆円に、業界関係者の消費増による波及効果などを加えた経済効果総額が2.3兆円だとしています。

ペット業界が飼育コストで安めの数字を出してくるのは、生体販売をなるだけ増やしたいからかもしれませんね。結局そこの風下で「横着な商売」をしているわけですから。あと、ペット業界が環境大臣に、規制をこれ以上厳しくしないよう要請しているとも聞いています。他のいろんな業界は、規制や法律が厳しくなったら受け入れて努力するというのに。。

■ 「経済効果」求めるのはモノ扱いの証

あと、動物に経済効果なんて、本当は求めてはいけないでしょう。商品にしていること自体おかしいですから。日本の犬や猫の国内飼育数の合計は子どもの数よりも多く、家族同然に暮らしている人も増えています。日本の法律でペットはあくまでも器物扱いのため、簡単に「首をひねられる」こともありますが、命としての尊厳を考えるべきだと思います。

――著書を拝読して、根拠のない批判は控えている印象を受けます。

そうなんですよ。私も若い頃は結構イケイケな部分やけんか早いところがありました。でも、そこからは何も生まれないと理解しました。何かを本当に変えたかったら、説得力のある穏やかなアプローチが絶対に必要。戦争のようになれば逆に、あまり望まない方向に行くでしょう。

――しかし、商業主義は本当に恐ろしいものです。対抗策は?

業界の資金力を持って広告宣伝されたら、こちらはまず太刀打ちできません。対抗するには、とにかくあきらめないで粘り強く、人のモラルを信じて(啓発活動などを)やり続けることに尽きるんですよ。この活動は自分の人生の使命と思って、覚悟して取り組んでいくつもりです。

 

情報提供元:東洋経済オンライン

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