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数時間で命を落とすことも…ペットの「熱中症」本当の怖さ!

熱中症
作家で獣医師でもある片川優子さんの連載「ペットと生きるために大切なこと」。前回は肥満についてお伝えした。今回は夏が本番を迎えるこれから必要となってくる「熱中症」について。予防策と、熱中症になってしまったときの対策について、よりリスクの高い犬の例を中心に具体的にお伝えしよう。

愛犬が突然の「余命宣告」。そのとき飼い主の漫画家は…

【前回の連載はこちら】
数時間で命を落とすことも…ペットの「熱中症」本当の怖さ

【人間よりも熱中症のリスクは高い】
ある年の夏、フレンチブルドッグが病院に運びこまれた。外を10分ほど散歩し、帰ってから様子がおかしいという。見ると、ハアハアと荒い息をしている上、足腰に力が入らず、ぐったりしている。

体温を測ると41度近い。真夏の散歩後という話と症状から、熱中症と診断、すぐに体を冷やし、点滴を行うなど、必要な処置が行われた。
その後体温は下がったものの、吐血、下血が起こり、次第に意識は混濁。そして、残念なことにその日のうちに亡くなってしまった。

朝まで元気だった愛犬が、夜には冷たくなって帰ってくることなど誰か予想できただろう。しかも、愛犬を想って行った散歩がその引き金になってしまったとしたら――オーナーの心情を考えると、やるせない気持ちでいっぱいになった。
そして、一気に進行し、たった数時間で命を落としてしまう可能性が高い熱中症の恐ろしさを、改めて肌で感じた一件だった。

いよいよ夏本番、気をつけなければならないのは熱中症だ。人間と同様に、犬や猫も熱中症になる危険がある。しかも、実は人間よりもリスクが高く、報告によると犬の熱中症の致死率は50~56%と、非常に高い(引用1,2)。

予防はもちろんだが、異変を感じた時にすぐ適切な対応できるかといった、飼い主の行動が非常に重要になってくる。
生死に直結してしまう怖い病気である熱中症、大切なペットとこれからも生きていくために、改めて学んでいきたい。

【気温×湿度が高いと危ない】
人間は汗をかくことで、体内で発生した熱を外に逃がすことができるが、犬や猫は汗腺があまり発達していないため、主にパンティング、つまり口でハアハアと呼吸することにより熱を体の外に逃がしている。しかし、気温や湿度が高い場合には、熱をうまく逃がすことができず、体内に熱がこもりやすくなってしまう。

また、パンティングによってどんどん体の水分が失われるため、きちんと水分補給しないと脱水になりやすくなる。脱水になると、体の血の巡りが悪くなり、さらに熱を溜め込んでしまう。

その結果、体温が42.8℃まで上がると、体を構成している細胞が死んでしまう。すると、心臓や消化器などをはじめとする臓器が機能しなくなり、意識が混濁する、けいれん発作がでるなどの神経症状が起こり、半数は24時間以内に命を落としてしまう。また、48時間以上生存していた場合は助かるという報告もある(引用3)。

【こんな症状に注意】
散歩のあとや、暑い部屋で留守番をさせていたときなど、もしも愛犬の様子がおかしかったら、できる限り体温を測ってみてほしい。

犬の平熱は38℃台と言われており、人間よりも常にあたたかい。興奮すると39℃以上になる犬も中にはいる。しかし、体温が40.5℃を超えている場合は、ただちに冷やした方がいいとされている。

とはいえ、家で犬の体温を測るのは難しいだろう。動物病院では、動物用の先が柔らかい体温計を使用し、専用のカバーをつけて直腸温を測定する。体温計の機能自体は人間用のものと変わらないので、家でもお尻の穴に体温計を入れれば同じように測れるのだが、人間と体温計を共有するのは避けたい人がほとんどだろう。

心配であれば、犬専用の体温計を用意しておくことをおすすめする。犬用に購入してもいいし、使わなくなった人間用を流用してもよいだろう。ただし、水銀の体温計は、測定するのに時間がかかる上、割れると危険なので避けてほしい。

そこまでするのが難しければ、普段からマメに体を触り、平常時や興奮時、だいたいどのくらいあたたかいのか知っておくだけでもいい。興奮しただけではこんなに熱くならないな、と不安に感じたら、まず動物病院に連絡してみると良いだろう。

体が熱いだけではなく、ぐったりしていて意識がもうろうとしたり、吐血や下血などがみられたりという場合は、迷わず病院へ向かってほしい。ちなみにそれが動物病院の昼休み時間中であったとしても、午後病院が開くのを待っている余裕はない。すぐに診てくれるところが見つかるまで、病院をあたる必要がある。

【家でもできる応急処置】
先にも述べた通り、熱中症を疑った場合、命を助けるためには、なるべく早く病院に連れて行くことが大切だ。病院到着が90分以上かかった症例では、救命率が下がったという報告がある(引用2)。

では、病院に行くまでの間に、飼い主自身が行うべきことはなんだろうか。それは、人間の熱中症と同様、体を冷やすことだ。

まずは水道水などの常温の水を体にかけ、体温を下げる。そして自宅、あるいは車内のエアコンをつけたり、風通しを良くして気温を下げることが先決だ。また、首筋や脇の下など、太い血管が通っている場所に保冷剤を当てても効果がある(引用3)。少々意外だが、やさしく四肢のマッサージを行い、血流を良くするのも効果的だ。

しかし、全身に氷水のような冷たすぎる水をかけたり体を漬け込んだりすると、血管が縮こまり、血の巡りが悪くなってしまって逆効果なので注意してほしい。冷水で冷やしたタオルで体を覆うのも一見有効に感じるが、すぐに体温で水が温まってしまい、タオルが断熱材となってしまうので、今は推奨されていない。

冷却を行う際に気をつけたいのが、冷やしすぎだ。熱中症になっていると、体温調節がうまくできず、急激に下がりすぎてしまうことがある。体温を冷やす目安は39.7~40℃と言われている。これは犬の普段の体温よりも高いので、普段通りの体温まで下げようとすると下げすぎになってしまう。注意が必要だ。

また、病院に到着した時には、冷却処置を行ったことをきちんと伝えることが重要だ。例えば病院到着時に体温が平熱の範囲内だった場合、冷却処置を行ってその体温まで下がったのか、なにもせずにその体温なのかにより、その後の処置が変わってくるからだ。

愛犬の具合が悪いと、取り乱してしまうのも無理はない。しかし、愛犬のことを一番よくわかっているのは飼い主だ。病院では冷静になって、今までの状況を正確に獣医師に伝えてほしい。

【熱中症を予防するために気をつけること】
一度なってしまうと死亡率の高い熱中症、防ぐためにはどのようなことに気をつければよいだろうか。

まずは、暑い時期の昼間の散歩は避けること。

真夏の真昼間だと、アスファルトの温度はかなり高くなっている。犬は地面との距離が近い。アスファルトの照り返しでかなり体温が上がってしまうことが予想される。毛の色が黒い犬も体温が上がりやすい。また足の裏をやけどしてしまう可能性もある。

夕方、気温が下がったあとも、アスファルトがまだ熱をもっていることも考えられるので、自分の手で触って温度を確かめることを習慣にしても良いだろう。

可能であればアスファルトが敷いていない道を選ぶのもおすすめだ。涼しくなった時間帯にドッグランや河川敷で運動不足を解消するのもいい。ただし、その場合はノミやマダニ対策をしっかり行う必要がある。

ちなみにほとんどの方が、初夏から秋にかけて、フィラリア症の予防薬を毎月飲ませているはずだが、その薬だけでノミやマダニ対策ができるとは限らない。フィラリア症単独で予防する薬だった場合は、別でノミやマダニ対策のスポット剤や錠剤を利用するか、最近テレビコマーシャルでもやっているような、全てを一錠で予防できるオールインワンタイプに切り替える必要がある。

いつも飲んでいるフィラリアの予防薬がノミやマダニにも有効かどうか、ぜひ一度確認してみてほしい。

また、熱中症は高温多湿環境下で起こる。特に猫は散歩をしないので大丈夫だと過信しがちだが、湿度が高ければ室内でも起こる危険性はあるので十分気をつけてほしい。暑い日にペットを置いて外出するときや、別の部屋で寝るときは、ペットのいる部屋の温度や湿度に気を配り、必要であれば冷房をつけっぱなしにするとよいだろう。

最後に、熱中症が起こりやすい個体について紹介する。
冒頭で紹介したフレンチブルドッグやパグ、ブルドッグのような鼻が短い犬種、いわゆる短頭種は、鼻や喉に構造上のトラブルを抱えている割合が高い。そういった個体は呼吸によってうまく熱を逃がすことができないため、体の中に熱がこもりやすく、熱中症の危険が高い。

ほかにも、肥満や心臓病、利尿薬を内服している個体は、熱中症になるリスクが高いことが知られている(引用2)。

自分の愛犬が上記に該当する場合は、より一層注意が必要であるとともに、もしもの時に備えてかかりつけの動物病院が休みの日や時間外でも対応してくれる病院を探しておくと良いだろう。

繰り返すが、犬は人間よりも体温調節がうまくできず、熱中症の致死率も高い。そして生存率を上げるためには、飼い主がいかに早く冷却処置を行えるか、すぐに病院に連れていけるかがきわめて重要なのだ。

これをきっかけに、なにかあったときの対応を家族全員でいま一度確認してから、安心して夏本番を迎えてみてはいかがだろうか。