トップページトップページ > 新着情報 > 犬猫歩行支援具など新製品実現!

新着情報 ―ペコアスの情報をピックアップ!

犬猫歩行支援具など新製品実現!

犬歩行器
東京都大田区は昨年8月から、区内の町工場と東南アジアのベンチャー企業との連携強化に向けた取り組みを展開。1日、大田区産業プラザPiO(ピオ)で成果発表会を開いた。海外企業のアイデアと町工場のものづくり技術とを結びつけ、双方の経営基盤強化を同時に後押しするもので、犬猫用歩行支援具など新たな製品が実現した。

発表会では、採択された3件のプロジェクトに関わった海外ベンチャー経営者や町工場の技術者らが登壇した。

タイのものづくりベンチャー、アイベットは、後ろ足が不自由な犬猫用歩行支援具を、サンリキ(大田区)と共同開発した。同社はアルミなどの加工技術を生かして、さまざまなアイデア商品を手掛けている。

歩行支援具はタイで試作品を完成させていたが、強度不足から大型犬が使うとフレームにひびが入るなどの課題を抱えていた。サンリキとの開発では、フレームをアルミ製からステンレス製に変え、さらにベルトなどの接合部の強度を上げた。

ただ、ステンレスの比重がアルミの3倍にもなるため、ラングレス(東京都墨田区)が開発した犬猫用心理状態表示装置「イヌパシー」を使って、ペットを観察しながら、最適な柄の長さを決めていった。

ワランカナ・ファンワニ社長は「とても素晴らしいものができた。タイで多くの犬猫に使ってもらう実証試験を経て、世界販売を実現させたい」と目を輝かせた。

海外企業との協業とあって、町工場にとって最もハードルが高かったのが言葉だ。アイベットのケースでは、大阪在住のファンワニ社長の弟が通訳を買って出た。ただ、部品の名称を事前に決めておかなかったこともあり、意思疎通から試行錯誤の連続だった。「歩行支援具の柄の部分を『バー』とか『ポール』とか言っていたけど、よくよく話を聞いたら柄のことだった」(サンリキの入沢英明顧問)と振り返る。

制御機器設計製造のフルハートジャパン(大田区)は、植物のケナフの茎から繊維を抽出しやすくする酵素液の生産装置を、マレーシアの環境ベンチャー、アセットイノベイツと開発した。フルハートの国広愛彦社長も「言葉の違いはあるが、何を求めているかを探り合いながら、お互いに何回も提案を繰り返しながら仕上げていった」と話す。

シンガポールの小型無人機「ドローン」ベンチャー、レッドドットドローンも制御機器試作開発の江和テクノ(同区)と共同で、複数のドローンを同時に制御するシステムの開発に取り組んだ。

起業支援を手掛け、大田区からこのプロジェクトを委託されたリバネス(東京都新宿区)の丸幸弘最高経営責任者は「町工場で培ってきたものづくりの技術が海外ベンチャーとの出合いにより世界展開できるきっかけになる」と、町工場と海外ベンチャーとの連携の意義を強調した。