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犬を売らないペット店が岡山で人気の事情 殺処分されてしまう元凶は命の売買にある?

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岡山市にあるペットショップ・シュシュ(chou chou)が「ペットを売らないペットショップ」として話題だ。岡山県、岡山市、倉敷市の動物愛護センター・保健所で殺処分を待っている犬を引き取り、里親探しをしているのだ。

無償で希望者に譲渡し、一切、犬の販売(生体販売)は行っていない。なぜそんな商売が成り立つのか、同店を訪れた。

 

店内にある「里親探しコーナー」


岡山駅から車で5分ほどのところにその店はあった。店内に入るとたくさんのペット用品売り場が中央に配置され、右側に「里親探しコーナー」がある。



店内に設置された里親探しコーナー。元々あったケージの部分はこれまで譲渡した犬たちの写真が飾られていた。

一般的なペットショップの3倍くらいの大きさのあるケージが4つあり、それぞれに殺処分から逃れた犬たちがいた。

店の奥にはトリミング室が2室。平日の日中の訪問だったが、気持ちよさそうにカット、シャンプーをしてもらう犬たちで「満員御礼」状態だった。

同店はダイレクトメーリング(DM)発送などを手掛ける株式会社グロップが2006年から経営するペットショップだ。はじめは通常のペットショップと同じく、ペット販売をしていた。同社が直接ペットを販売するのではなく、現在の里親探しコーナーの場所をテナントとしてペット販売業者に貸していた。

現在の大きなケージの上にはかつての小さいケージが残っており、いかに多くのペットがぎっしりと陳列され、売られるのを待っていたかがわかる。

岡山県では動物愛護団体がかねてより殺処分される犬猫の保護に力を入れており、行政もそれを理解し、処分を減らす努力が続けられてきた地域だという。2016年度の「犬・猫の引き取り及び負傷動物の収容状況」(環境省)によれば、岡山県の返還・譲渡率は84%で全国2位(1位は広島県)だった。



澤木さんにとっては、ブリーダーにより多くの犬が産まれる中、殺処分される犬が後を絶たないことに矛盾を感じていたという。

この返還・譲渡率とは、収容された犬猫がもう一度飼い主のもとで暮らせるようになった割合を指す。

そうした中、ペットの殺処分という「出口」の問題を解決するには命の売買という「入口」の問題を考えていかなければならないということで、2015年春よりシュシュはペットの販売を止め、無償での里親探しを始めたのだという(同社ペットサービス部総括マネージャー澤木崇氏)。

現在は岡山市内の同店・岡山店と倉敷店の2店舗で里親探しが行われている。両店とも猫は扱っていない。その理由を澤木氏は「猫は運動量が多く、今のケージのサイズでは飼育環境が良好とは言えないから」という。あくまでペット本位の飼育環境を大事にしているのだ。

頭数にこだわらない里親探しの考え方


2015年春からのシュシュにおける里親探し実績は岡山店30頭、倉敷店5頭と予想のほか少ない。ケージが少ないということもあるが、頭数を多くする考えはないという。「平均して1カ月から1.5カ月程度につき1匹のペースで里親が決まっていきます。新しい飼い主候補の方と譲渡前に何度も面談を重ね、譲渡までにじっくりと時間をかけています」(澤木氏)



新しい飼い主が決まった犬たちの写真が飾られていた。

あくまでペットを売らないペットショップというビジネスモデルをペット本位の環境で行うことに重点があるのだ。

したがって、頭数で考えれば、救われる命はわずかなように筆者は感じたが、前述のように岡山では殺処分を回避するための動物愛護活動が盛んで、行政も臨機応変に対応しているという。地域のそうした動物に対する愛情を感じたからこそ、シュシュも里親探しにシフトしたということのようだ。

ペット用品の品揃えは豊富だった。

そうは言っても、民間企業だ。利益を生み出さないビジネスはありえない。どうなっているのだろうか。

そのヒントは店舗にあった。

シュシュの売り上げの4割はペット用品の販売による。店内の品揃えは豊富だ。

さらにトリミング事業が3割を稼ぎだす。残りの3割はグッズの通信販売だ。

かつてはペット売り場のテナント収入もあった。現在、直接の利益貢献にはならない里親探しの活動・飼育にスタッフ1名を配置しており、むしろコストはかかるようになっている。

だが、「売り上げも利益もペットの販売をやめてから毎年伸びています」(澤木氏)というように、ペットを売らないペットショップとして話題になり、それを支持するペット愛好家たちが来店したり通信販売で関連商品を買ってくれるのだという。「この里親探しのコーナーがお客さんとお店とを結びつける接着剤の役割をしています」(澤木氏)

里親探しの輪は全国に広がるか


2015年秋にグロップは千葉県市川市で動物病院、ペットショップを経営する企業を傘下に収めた。「ジャングル」という名称のペットショップ事業を引き継ぎ、「アニマルライフ」というペット販売はせず里親探しをするお店に転換した。



店内にいた犬は保健所にいた頃よりも表情は明るくなったと言うがどこか寂しげ。飼い主が決まり新しい暮らしが始まると笑顔を多く見せるという。

命をモノのように店頭に陳列し、購入を促す現在のスタイルに消費者は少しずつだが疑問を持ち始めているのだろう。シュシュの売り上げが伸びているのも、そうした現状を問題提起する同社の姿に消費者が共感し、支持しているからだと感じた。

シュシュの取り組みがより広く認知され、それがビジネスとして成り立ち、ペットと新しい家族との出会いが「命の売買」ではなくなる日がいつかは来ることを願う。