食品ロス削減推進法成立などで食品ロスへの関心が高まる中、鹿沼市上殿町の通信販売会社「こころ」は「ペットフード」のロス削減に取り組み始めた。
廃棄予定の商品を2次流通させ、収益の一部を動物保護活動費に充てるネットショップを先月オープン。同社によると全国でも例のない事業で、多くの問い合わせが寄せられている。菅沼圭(すがぬまけい)社長(39)は「ペットに関わる全ての人の思いをつなげたい」と話している。
見上げるほど山積みになった段ボール箱の中身は、パッケージの変更や傷、賞味期限間近などの理由で廃棄されていくペットフード。菅沼社長が常々、取引先の物流倉庫で目にしてきた光景だ。
一般社団法人ペットフード協会の産業実態調査によると、2017年度のペットフード総出荷量は59万6270トン。廃棄される量は公表されていないが、菅沼社長は「多額の費用をかけて大量に捨てている現実は衝撃的だった」と振り返る。
一方、保護活動の現場を訪ねると、飼育経費を理由に手放される犬猫が多い現実に直面した。「ペットフードロス・ゼロを目指すことで命をつなげられないか」と先月19日にオープンしたのが、ネットショップ「社会貢献型 ペット用品店cocoro」だ。
廃棄予定のペットフードや首輪、リードなどの用品をメーカーや卸問屋から引き取り、市販価格の平均7割程度で販売。商品額の一部を動物愛護団体に寄付する仕組みで、オープンから約1カ月間で2万2千円の寄付金が集まった。支援対象団体は現在、同社の審査を経た3団体だが、順次拡大する予定。
ショップのキャッチコピーは「『捨てる』を『考える』」。考案した同社の広報担当の鵜飼剛(うかいつよし)さん(33)は「捨てた先にある環境汚染などの問題に思いを寄せてほしい」と訴える。
複数の犬猫を飼育している飼い主を中心に注目度が高く、賛同する東急百貨店(東京都)や大手物流企業などから連携企画の提案もあるという。