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犬猫の「殺処分ゼロ」を目指す動物病院の挑戦!

ねこかぜ
「『野良猫が自分の家の敷地内などで産んで困った』ということで引き取る形がほとんどです」。こう話すのは、「犬猫救済の輪 TNR日本動物福祉病院」代表の結昭子さん。

犬猫の殺処分がいまだに約4万匹(※1)を超える中、動物愛護活動歴30年の経験を生かし、犬猫殺処分ゼロに向けて具体的かつ効果的なアクションを続ける女性です。

「(保健所や動物愛護センターなどの施設に)収容されて、どこかが引き取ってくれないと数は増える一方。その数があまりにも多すぎるので、殺処分やむなしとなってしまう。センターとしても、できる限り受け入れないようにしています。(猫が2〜3カ月の状態だと)外にいても生きていけないから『引き取るべきだ』という人も多いのですが、引き取ったら殺処分にするしかないという現実があります」

【飼主のいない動物にも充実医療と不妊手術を】

結さんが動物愛護活動を始めたきっかけは、神奈川県川崎市に移り住んだ30年ほど前のこと。

「外に猫ちゃんがたくさん目に入ってきて。その中にはお腹の大きい子もいて。こんな所で雨が降ったらどうなるんだろう、育てられないだろうなと感じ、連れて帰ってうちで産ませてあげました。子猫ちゃんはもらい手さんを探し、お母さんは不妊手術を。2匹くらいそんなことをしていたら、子猫が10匹になってしまって。

これじゃもらい手さんを探すのも無理だし、ひたすら手術をしなければだめなんだなと。不妊手術の大事さがわかりました」

結さんが仲間とともに2010年に開設した「TNR日本動物福祉病院」では、日本中の犬猫殺処分ゼロを目指し、主に猫の不妊手術を実施。その数は、毎月約150頭にも及びます。

不妊手術費用はメス6000円、オス5000円と抑え、一般診療やペットホテル等の利益でまかなっています。

「TNR」とは、地域猫を捕獲(Trap)し、不妊去勢手術(Neuter)を施し、元の場所に戻す(Return)活動を意味します。「TNR」の取り組みを進め、野良から生まれる子どもを減らし、行政による収容を減らし、譲渡を進めることで殺処分をなくす。そんなサイクルを実現し、望まれず生まれ殺処分される不幸な命をなくそうと、不妊治療をしやすい環境作りに向けて尽力してきました。

また、「TNR日本動物福祉病院」では、保護されたものの譲渡の難しい傷病猫たちへの治療も行っています。病気やケガをした飼い主のいない動物に充実した医療を提供し、次の飼い主を見つけるのが使命です。

「小さい時に風邪をひいて角膜が白く濁ったり、結膜の上下がくっついたり。(野良猫は)外で環境に恵まれていないから、みんなちょこちょこそういうことがある。でも早く見つけて治してあげるといいところまではいく」

野良猫が病気にかかっていたとしても、動物福祉に考慮して医療を受けられる病院があれば、医療費の不安に躊躇せず手を差し伸べることができるといいます。

【殺処分ゼロ実現に、里親譲渡】

結さんの活動は、着実に成果を見せ始めています。

「TNR日本動物福祉病院」が2009年に譲渡団体として登録した「神奈川県動物保護センター」「川崎市動物愛護センター」では、2013年に殺処分ゼロを実現し、今も継続しています。

2005~2012年度まで連続で殺処分数全国ワーストを記録していた茨城県についても、2016年から「TNR日本動物福祉病院」が本格的に収容猫の引き取りを開始し、2018年4〜8月は殺処分ゼロを継続するまでに至っています。

「(今は、保護室にいる)90%以上が茨城県動物指導センターから。どこかで生まれて、茨城県のセンターに収容された子たちです。1回に20〜30匹を引き取り、今は保護室に約40匹います。小さい時に来て、ミルクから育てたりして、みるみる大きくなってくれています」

また、「TNR日本動物福祉病院」では定期的に里親会を開催し、恵まれない環境にいた猫が、治療や不妊治療を終えた後に安心して暮らせる居場所へと導くサポートもしています。

「(譲渡の際は、家まで)お届けをするのがすごく大事だと思っています。家に直接行ってみないとわからないことは結構ある。起きることを想定して、ドアは二重にしなきゃいけないとか、細かいところまでお話ししてから譲渡しています」

里親譲渡を進めては、またセンターから猫を引き取るということを続けているのです。

【福島での動物レスキュー 救えた約1000頭の命】

結さんは、2011年の東日本大震災の際、動物福祉を目的としたこの動物病院の存在意義を強く感じたと話します。

「この病院がなかったら助けられなかったなというのがありますね」

当時、結さんは仲間と原発事故で警戒区域となった楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町の5つの町に入り、「福島被災動物レスキュー」に参加。

取り残された動物たちを救助する活動を始めました。原発事故以降、結さんは来る日も来る日も福島県の浜通り各地に救助に入り続けました。

「広いですから、すごい数でした。あふれてあふれて。言葉にはできませんでしたね。最初行った時は飼い主さんからのご依頼で、ガラスを割って入ったりして、保護して。そうして頼まれたところの子を車に乗せて連れてきて。そういうところから始まりました」
結さんは震災前年に病院を立ち上げており、保護した動物を受け入れることができました。

「場所は限られているけれども積み上げてでもぎゅうぎゅうになってでも、一度は入れられたから、ある程度の医療を施すことができました。また、『これなら移動しても大丈夫』という応急的な処置をして県外に移動したこともありました」

8年にわたるレスキュー活動は、取り残されている猫全頭保護が達成し、昨年(2018年)末に終了。約1000頭の命を救出することができました。

「ずっと最後までやって。失った子もたくさんいましたが、『できるんだ』ということも感じました。逆に、できる人が少ないんだということもわかって。だからやっぱり『自分でできるところを一生懸命やろう』と。それはやっぱり現場かな、助けるってことかな、って」

【初めてのクラウドファンディングに挑戦】

人間の都合によって飼われ、そして捨てられ、殺されてしまう動物たちを少しでも減らしたい。

結さんは今、医療機器や診察室の拡充をはかり救える命を増やそうと、約1000万円の資金調達を目指しています。拡充に必要な経費約2000万円のうち、半分をクラウドファンディングで調達したいと言います。

昨年(2018年)11月に、より広い施設へと病院を移転しました。現在の2倍の不妊手術数(300匹)を実現するために、手術台を追加したいと考えています。また、診察室を2室から3室に増やすための診療台、重症の動物の酸素室、1台しかない顕微鏡の補充も必要です。

さらには、古くなった設備機材の更新についても、充実した医療を提供するためには欠かせません。「TNR日本動物福祉病院」で使われている血液の検査をする機械は、開院当初から使われている7〜8年もの。

「(新しく販売されているものは)精度も時間も違う。以前測れなかった項目で今測るべき項目がたくさん出てきているので、それを見ることができればできることが増えます。

まず、早期に治療方針を決めることができる。また、どうしてもここで測れないものは外注検査で測るので医療費が高くなってしまい提案もしづらくなるのですが、それが病院内でできれば医療費も抑えられる」と「TNR日本動物福祉病院」の医師は話します。

「動物に限らず、弱い人、もの、そういう存在に手を差し伸べられるような社会にしたいと思っています。今、病院という形は実現できましたから、その中でどれだけ(殺処分ゼロに向けての)結果を出すための早道を実行していけるか。

飼い主のいない動物たちへの無料不妊手術の実現を達成し、その結果も出したいと思っています。そのために、力をお借りできたらと思っています」と結さん

【クラウドファンディング】1月28日まで
https://a-port.asahi.com/projects/tnr-dobutsufukushi/

提供元:GARDEN Journalism