忠実で、愛らしい犬は飼い主に対して深い愛情を抱いていている。夜、飼い主の夢を見るほどに愛情深いのだ。
だからこそ、犬にとって独りの時間はつらい。ちょっとトイレのために席を外すだけでも悲しい。ましてやあなたが1日中外出するとき、彼らは永遠の別れであるかのようにあなたの後ろ姿を見つめている。目を大きく開き、クンクンと鳴くその姿は、もう2度とあなたに会えないとでも考えているかのようだ。
その悲しみが消えるのは、不当なまでに長いと彼らが感じている旅からあなたが帰宅したときだけだ。
なぜ犬はご主人様がきちんと帰ってくることが分からないのだろうか? そして、ちゃんとあながた帰ってくることを彼らに伝える方法はあるのだろうか?
この疑問に答えてくれたのは、英バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホームの犬活動福祉チーム(CBWT)だ。
これを読んだら、もう愛犬を放ったらかしにはできなくなるだろう。
【あなたが去って30分後、犬のストレスはマックスに】
まず、愛犬に「じゃあね」と告げ、玄関から外に出かけたとする。その状況を犬が理解すると、彼らは強いストレスを感じ始める。ストレスレベルが上昇すると、犬の心拍数、呼吸、コルチゾールといったストレスホルモン濃度も上昇する。
大抵の犬の場合、ストレスが最大に達するのは、独りになってから最初の30分である。しかし、中には飼い主が帰宅するまでずっと強いストレスを感じ続ける犬もいる。
孤独による苦痛を表す最も一般的な指標は、声による抗議と破壊行動であるが、もっと微妙なシグナルもある。
例えば、同じ場所を行ったり来たりするペーシングや過剰な唾液の分泌はストレスのサインだ。ストレスを緩和するために、床におしっこをする場合もある。
しばらくすると犬は飼い主が外出するサインを憶えてしまう。飼い主が鍵を探しながら玄関に向かったり、トイレに行ったりといった行動から、外出する気配を察知し、パニックに陥る。
犬は社会的な動物であるが、置いて行かれる気持ちを直接問いただすことはできない。残念ながらおしゃべりな生き物ではないのだ。
置き去りにされた寂しさの感じ方は犬によって異なる】
犬が永遠に置き去りにされると感じているのかどうかも本当のところはよく分からない。あまり気にしていない子もいるかもしれないし、ただ退屈なだけという子もいるかもしれない。
またストレスに強い子もいる。その一方で、とてもストレスに弱く、分離不安やうつを発症してしまう子もいる。そうしたストレスへの耐性は個体や犬種によっても異なる。
【仲間の犬がいることで寂しさが軽減されたり助長されたり】
苦しい時間を共に過ごせる別の犬がいると、ストレスにうまく対応できる場合もある。もちろん個体差は非常に大きいのだが、一方の犬が冷静でいたりすると、独りが苦手な犬でも落ち着いていられるかもしれない。
反対に仲間から不安を学んでしまうこともあり、逆効果になるようなケースもある。どちらになるか前もって知ることは残念だが難しい。
【子犬のころの独りの過ごし方が影響】
ほぼ確かなことは、子犬のころの独りの過ごし方が、成犬になってからもずっと影響するということだ。
生後3〜14週間の社会化期の子犬はどの子でも学習能力が高く、独りになっても平気だ。その時間を徐々に伸ばしていくことは可能である。ただし子犬なので、いきなり長時間放置しないよう注意しよう。
年齢を重ねている犬については少々難しくなるが、それでも徐々に慣らしていくことが有効であろう。重ねて言うが、個体差はある。
【犬に留守番を覚えさせる方法】
では実際にどのようにやればいいだろうか?
ウッドグリーンという動物保護チャリティは、”お留守番ボックス”の利用を提案している。お留守番ボックスは犬用のおもちゃ、新聞紙などに包んだおやつやガムといったものを入れた容器だ。
出かける際、これを犬の前に置いて、遊ばせる。それから堂々と何事もないかのように外出するのである。最初は20分未満の短時間だけ出かける。そして帰宅したら、すぐに容器と散らかしたものを片付ける。
この躾の狙いは、飼い主が出かけるときにだけ特別なご褒美がもらえると学習させることにある。
犬に自信がついてきたら、徐々に外出の時間を延ばし、気を紛らわすためのおもちゃも減らしていく。家のカーテンを閉じて、気を散らすようなものが目に入らないにしておくことも有効だ。
まとめると、犬に独りの時間の過ごし方を教えるには、子犬のときが最適だ。
そうした時期に玄関のドアを開くたびに恐怖で震えるような思いをさせたり、悲しみや疑念を抱かせるようなことをしてはいけない。
そして、おそらく最高なのは、帰宅するたびにあなたを待っている熱烈な歓迎を楽しみにすることだろう。
情報提供元:BIGLOBEニュース