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専門家が危惧する空前の猫ブームに潜む危険。価格高騰、捨て猫事情に影響も

◆ペットショップでの”値段”が倍以上に

猫の飼育頭数が犬のそれを越えるのは時間の問題――二大愛玩動物である犬と猫の人気が逆転した今、メディアでは“ネコノミクス”という造語が踊り、テレビをつければ愛らしい猫が登場する企業CMが次々と放送されている。そう、猫も杓子も猫、猫、猫の猫ブームといえる状況が続いているのだ。

猫好きからするとこの猫だらけの状況はうれしい限りだが、猫ブームを背景にペットショップでは異常な値上がりをみせている。需要と供給で価格が変動するのは世の常だが、キャットショーで優勝するような猫のブリーダーの話によると、「倍額でもいいから売ってほしい」とペットショップから連絡が次々にきているという。30万円でブリーダーから仕入れた人気猫種の子猫が、店のショーケースに並ぶと100万円前後になることも珍しくないというのだ。

<2016年・猫の人気品種ランキング>

1.スコティッシュフォールド

2.アメリカンショートヘア

3.マンチカン

4.混血猫(雑種)

5.ノルウェージャンフォレストキャット

※アニコム損害保険株式会社調べ/「どうぶつ保険」に加入した1万8000頭を対照に調査。

実際、都内の沿線にあるチェーン系ペットショップをのぞくと、4坪ほどの小さな店内には人気猫種の「マンチカン」(猫のダックスフンドと呼ばれ、極端に脚が短い)と「スコティッシュフォールド」(折れた耳がかわいいと人気だが、獣医師も問題視する劣性遺伝が色濃く出る猫種)、「アメリカンショートヘア」(定番人気の猫種。スコティッシュフォールドの繁殖で交雑される猫種でもある)が50万円以上で販売されていた。数年前まで半値で売られていた猫種だ(同じ猫種でも血統や容姿により、価格は変動する)。

◆変化し始めた昨今の捨て猫事情

一方、ペットショップで販売される純血種と違い、野良猫=「飼い主のいない猫」を保護して里親を見つける動物愛護の活動を続ける猫ボランティアは、この空前の猫ブームを冷静に見つめている。

保護活動の最前線で活躍する猫ボランティアの多くは、ブームが去った後のことを危惧している。それはペットブームの後に必ずやってくる、無責任な飼い主によるペット遺棄だ。昨今、様々なところで動物愛護が叫ばれているにもかかわらず、自分勝手な理由でペットを捨てる飼い主は驚くほど多い。引っ越し、同棲解消、飽きた、なつかない、吠える、鳴く、子犬や子猫が産まれて増えた、病気など理由は様々だ。

過去も大型犬がブームになれば山林でシベリアンハスキーが野犬化し、小型犬が人気になれば動物愛護センターのケージにチワワが並ぶ。ここ数年はペットとして人気のウサギやカメの遺棄も増加している。

残念ながら猫の遺棄は以前から少なくない。日本での猫の飼育状況は「アメリカンショートヘア」「ロシアンブルー」といった純血種を飼っている人が約2割、野良猫のような雑種を飼っている人が約8割になる(一般社団法人ペットフード協会調べ)。

今までも純血種の捨て猫はあったが、ここ最近は少し様子が変わってきている。長年、猫の保護活動を続けるボランティアの活動地域で、前述した純血種「マンチカン」×「スコティッシュフォールド」(推定3歳)と「マンチカン」×「アメリカンショートヘア」(推定2歳)が保護されたという。家から脱走した可能性もあるので警察、動物愛護センターに届け出をだし、街の各所に迷い猫のポスターを張り出したが、数ヶ月経った今も飼い主からは連絡がない。おそらくペットショップかブリーダーで購入した飼い主が捨てたのだろう。

最近、ペットショップやブリーダー直販サイトで雑種を「ミックス猫」と呼び、人気の純血種を交雑した猫が販売されている。愛らしい容姿の特徴が混じり、純血種より価格も手頃で、個性的な容姿だとジワジワ人気が出ている。これは単純にかわいい容姿をデザインしているだけでなく、ブリーダー側による理由も少なくない。

「まず、限られた頭数の繁殖で血が濃くなるのを防ぐためです。しかも、安い純血種同士の猫でも容易に作れることが最大の利点でしょう。なかには望まない異種交配で生まれた猫をミックスとして販売することもある」(都内のブリーダー)

一般的に雑種の猫は身体が強く、長生きすると言われているが、脚が極端に短い「マンチカン」や脚の関節に変形や痛みの問題が起きやすい「スコティッシュフォールド」の交配は危険だと異を唱える愛猫家は多い。

巷で猫ブームが過熱化する中、人気になりつつあるミックス猫が保護されるようになった。しかし、前述した猫ボランティアたちの地道な活動(去勢避妊、保護、譲渡、啓蒙など)により、猫の殺処分数は10年前から約3分の1にまで減少した。だが、現在も年間約8万頭の猫が殺処分されている(猫の殺処分推移 2004年度23万8929頭→2014年度7万9745頭/環境省調べ)。

この猫ブームにより、次に訪れる捨て猫が懸念される声がある一方で、プラスの面があるのも事実だ。

「動物愛護団体の活動で、行政への啓蒙活動に繋がり、野良猫や保護猫の『譲渡会(里親会)』も普及した結果、殺処分が劇的に減りました。また『地域猫活動』も認知が進んだ結果、地域の問題として取り組むようになった自治体も多い。猫専門の獣医師や識者による『猫の飼い方本』も増えたので、以前より、正しい猫の知識を容易に知ることができます」(都内の猫ボランティア団体のメンバー)

今までペットとしてひとくくりに扱われることが多かった猫だが、猫の習性、飼い方、接し方などを正しく知ることで、不幸な猫を一匹でも減らせることができるはずだ。同時に野良猫=「飼い主のいない猫」の現状を把握するだけで、街を歩く猫たちの認識も違ってくるだろう。

今後、猫を飼う個々人が正しい知識とモラルを身につけ、ブームを一過性のものとして終わらせないことが重要だ。いまだペット販売や動物愛護の法整備が追いつかない我が国では、最後は個々人の良心にゆだねられている。現在、猫と暮らしている人も猫ブームを契機に、かわいさだけではなく、生き物として、命の責任と重さを再確認してみるのもいいだろう。そして最後を看取るその瞬間まで、愛猫をしっかりと胸に抱いていて欲しい。

 

情報提供元:週刊SPA!