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ネコ業界にも広がる夜間営業–資料から見える実態!!!

■猫の深夜労働は適法なの?

ここ1ヶ月で猫の夜間労働問題が話題になっていました。

 

「猫ですら深夜まで働かされるブラック日本」 猫カフェの営業時間延長を承認するニュースにネット驚愕

 

猫の労働、夜は何時までOK? 猫カフェ規制で議論

 

猫カフェに業務停止命令=全国初、環境劣悪で-東京都」という、センセーショナルなニュースもありました。そしてふと思ったのが、倫理観を含めた社会的責任はどこにあるんだ?本当に記事の通りなのか?と。

 

企業のコンプライアンス(法令順守)というと、大企業のそれをイメージする人も多いでしょうが、飲食業というか、猫カフェ運営企業などの中小規模事業者ももちろんコンプライアンス対応は必須です。法治国家において、法に従わないという選択肢はありえません。では、猫カフェの運営企業の社会的責任としてはどのような対応が今後考えられるのでしょうか。

 

取材(という大義名分)で、オープン待ちをして都内の猫カフェで初めての“猫カフェ体験”もしてきました。あまりにも猫がかわいすぎて当初の目標を見失うところでした。はー、猫はかわええ。

 

というわけで、本記事では、猫カフェ体験記の詳細は割愛し、環境省の猫カフェに関する様々や調査データを見ながら、人・企業と猫のあり方についてまとめます。色々資料をあさっていたら、思ったより深かったです。

■猫カフェとは

 

猫カフェとは、文字通りカフェに猫がいる店舗のこと。条件はありますがほとんどの店舗で触れ合うことができます。営業形態は動物の「展示」に当たるため「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法、最終改正:平成26年)に基づく動物取扱業の登録が必要らしいです。飲食店と動物の展示(飼育を含む)という衛生面で不安がある業態なので、所轄保健所の指導を仰ぐ必要があるともされています。

 

そもそも、猫カフェは、本来であれば展示動物を利用した営業ということでは20時までという規制を受けていますが、今月末の平成28年5月31日までは経過措置がとられ、営業時間の延長を許されています。

 

で、先々週の4月27日、環境省の中央環境審議会動物愛護部会が猫カフェが22時まで営業できるよう、動物愛護法の施行規則などを改正する答申案を了承した、という報道がありました。猫の「労働時間」を1日12時間以内に限定する条件を新たに設け、11歳以上の高齢猫には定期的に健康診断を受けさせるよう配慮する、などの条件もあるようです。

 

環境省が6月以降も認める方針を示したのですが、動物福祉・動物愛護の観点からそのまま認めることが難しいと考える人たちが多いのも事実。落としどころはどこになるのでしょうか。最終的な着地がどうあれ“合法なら猫をどれだけ働かせてもいい”とはいきません。猫は生き物です。長時間労働・深夜労働(?)は肉体的・精神的負荷も大きいと考えられており“グレーゾーン”的な扱いも考えられます。

 

現在では、犬・猫(愛玩動物)だけではなく、家畜、展示動物(動物園等)、実験動物など、人間の飼育下におかれた全ての動物に対する福祉の基本として世界中に認められ、また、EU(欧州連合)ではこれに基づいた指令も出され、各国の法令に反映されています。EUの動物福祉政策は世界的に見ても先進的とされているんですよ。このあたりも今回話題になったことで、日本でも議論が進むことを期待します。

で、今更感がありますが、実は動物愛護に関する取組みの担当官庁は環境省です。私は犬・猫の殺処分データを見たことがあったので知ってましたけど、多くの方は、環境省はエコとか推進しているイメージが強いかもしれません。

 

というわけで、環境省の「猫カフェの実態調査」(PDF、平成27年10月)、「猫のストレス調査」(PDF、平成28年1月)を確認してみましょう。

■猫カフェの実態

 

環境省の「平成27年 猫カフェの実態調査」によれば、第一種動物取扱業のうちいわゆる猫カフェに該当する店舗は314あり、最も多いのは東京で58店舗、次いで大阪で34店舗、埼玉で21店舗となっています。保護猫の里親として猫の譲渡をしているのは全体の33%。行政指導は全体の10%ほどが「不適切な飼養管理、点検台帳の不備、標識掲示の不備」などで受けているとのこと。

今回の論点である「労働時間」に注目すると以下のような形になります。

閉店時間
閉店時間
営業時間
営業時間

営業時間中ずっと接客スペースに猫がいるわけではないと思いますが、人間と同じような労働時間なのですね…。なんか親近感が…。あと、閉店時間をみると、法で定められている「20時まで」の店舗が多いようです。全体の3割程度は20時以降も運営されていると。

 

ちなみに「猫のストレス調査」の結論は、「深夜(20~22時)の猫の労働からストレスにつながる因果関係はなさそうだ」です。これをエビデンス(根拠)として、6月以降も22時まで営業していいよ、となったと思われます。

 

私が都内の猫カフェに行ったのは午前中でしたが、猫の労働環境・勤務態度は非常に良いように感じました。まぁ、寝てばかりの猫も多かったですけど。広い店舗だったからか、動き回っていましたし、そのあたりはストレスになっていなそうでしたよ。

 

図表参照:環境省「猫カフェの実態調査」(平成27年10月)

 

■動物を扱うあらゆるものを批判する動物愛護団体の存在

 

労働実態ももちろんですが、猫にも“人権”はあるのでしょうか。結論からいうと、あるんです。今、動物の展示やふれあいをする動物園や水族館が、海外では叩かれているのです。

 

ここでいう人権とは、国際的な解釈のもので「生存権」に近い概念を指しています。どういうことかといいますと、動物を“飼育する”という行為そのものが動物のためにならない、と。例えば、以下の記事が参考になると思います。

 

メルセデス・ベンツは動物愛護団体の批判によって、一部モデルでシートに革を使うのを止めると発表。IKEAは店内のレストランで動物関連食品を使わないミートボールを提供することになった。大手アパレルのラルフローレンやアバクロンビー&フィッチ、H&Mなどは毛皮商品の扱いを中止し、GAPや、アディダスやプーマなどほとんどの大手アパレル企業が、動物愛護活動によってアンゴラウサギの毛の商品を発売停止にしている。

 

出典:米国水族館の「シャチのショー廃止」を日本企業が注目すべき理由

記事では、シャチの飼育やショーは良くないということで叩かれ、ビジネス存続の危機に陥っているともされています。動物をビジネスに使っている企業は、そのビジネスモデル自体が大きなリスクをはらんでいることを認識すべきなのでしょう。ペットショップも色々と動物愛護団体から叩かれていますが、日本のペットショップ・動物園・水族館もいずれは叩かれる状況になるかもしれません。

 

ちなみに、このあたりの考え方は「アニマル・ウェルフェア」(動物福祉、Animal Welfare)という概念に近いものがあります。家畜(産業動物)にも適用される概念で、農水省の「アニマルウェルフェアについて」という資料が詳しいので興味がある人はチェックしてみてください。

■猫カフェの新しいカタチ

 

動物福祉的な視点で猫カフェを見ると、実は様々な活動をしている人・企業もあります。例えば、猫の殺処分を減らそうという動きです。殺処分などから保護された猫を預かり、カフェの運営を通じて里親を探すという形式のお店です。あまり詳しくなく恐縮ですが、インターネットで探すと関東・関西どちらでも数店舗はあるようです。「保護猫カフェ」や「里親募集型猫カフェ」などと呼ばれています。

では、猫の保護と殺処分に関する現状を確認してみましょう。

 

環境省の「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」によれば、平成26年度のデータで、猫の引き取り数は97,922匹、処分の「返還・譲渡数」は18,592匹、「殺処分」は79,745匹となっています。下記のグラフのように、犬も含めてどんどん殺処分数は減っているものの、まだまだ万単位での処分が行なわれている現実もあります。また、「平成16~26年度の犬・猫の引取り状況」という表をご覧頂ければわかるとおり、猫は殺処分が減って、返還・譲渡数がのびています。

殺処分数
殺処分数
過去の累計データ
過去の累計データ

こういった社会問題解決のために様々なNPOなどが日本全国で活動を行なっており、猫カフェだけではなく、様々なセクターが猫の動物福祉に貢献していると言えるでしょう。私自身は、課題解決のノウハウがないため、殺処分を減らす活動をするNPOに、毎年少額ながら寄付をさせていただいています。

図表参照:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況

 

■猫カフェ運営組織の社会貢献

 

今回は猫カフェを取り上げましたが、商業運用としての、他の動物がいるカフェや体験エリア、もっと大きくなると動物園など、生き物の展示(動物たちの労働)には注意が必要です。かわいいからと言って、すべて人間のわがままを押し付けてはいけません。法整備と合わせて施設運営企業の倫理観が、今後より一層問われるようになるでしょう。

 

猫の労働時間から、人間のエゴというか、猫好きな感情というか、色々考えさせられるニュースをまとめました。あなたが猫カフェに行く時は、ウェブで事前に施設等の確認をし、しっかりと運営されていそうなカフェを選びましょう。

 

ちなみに、猫様の経済力はハンパありません。J-CAST『猫の経済効果ネコノミクス 「テーマパーク」もびっくりの金額だった』の記事によれば、猫による経済効果は年間2兆3,000億円を超えるという大学教授のデータをまとめています。

 

情報提供元:安藤光展  | CSRコンサルタント 

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