ペットを失った後、突然涙が止まらなくなる人が6割-。
ペット向け保険を手がける「アイペット損害保険」(東京都港区、平成16年設立)が8月、インターネットを通じて実施したアンケートでこんな結果が出た。食欲不振になったり、幻聴や幻覚まで現れたりと、深刻なペットロス症状を訴える人も。ペットは「大切な家族の一員」という認識が改めて浮き彫りになった。(社会部 天野健作)
ペットロスの認知度は8割
アイペットは、以前犬・猫と暮らしていて、犬・猫を失った経験がある30~59歳の男女894人を対象に調査を実施した。
「ペットロスという言葉を聞いたことがあるか」という問いに対し、「聞いたことがある」が48・7%で、「聞いたことがあり、意味も知っている」(31・3%)も含めると、認知度は80%になった。
ペットロスの症状として最も多かったのは「突然悲しくなり涙が止まらなくなる」が60・3%で最多。次いで、「疲労感、虚脱感、無気力、めまい」(32・6%)、「食欲不振、過食」(13・2%)、「眠れない」(12%)、「幻覚、幻聴、妄想」(7・4%)の順になった。
ペットフード協会によると、全国の犬と猫の飼育頭数は計約1979万匹(平成27年)に上る。ペットを失った悲しみはその数と同じだけあるとみられる。
会社を休み、眠れなくなる
ペットロスの期間としては、「3カ月未満」が51%を占め、最も多かった。中には「外に出られなくなる」という深刻な症状が半年以上続いたケースも。
ペットが死んだ後、仕事を休んだ人も9・9%に上り、中でも「ペットは子供のような存在」と回答した人の23・5%が、仕事を休むという結果になった。
ただペットロスを自覚している人は53・3%で、自覚症状がない人も多く、同社は「もっと周りが気遣ってほしい」と訴える。
では、どうやってペットロスから克服するか。これについては「時間の経過を待つ以外にない」が60・7%。そのほか「お墓参り」(12・5%)、「悲しみを共有する」(5・6%)、「部屋の模様替え」(5・1%)、「形見をつくる」(5%)などがあった。
ただ、ペットロスを経験した人は、別のペットを飼うという決断に至りにくいようだ。「死別などつらい思いをしたくないから」として40・7%が新たなペットを飼っていない。
ペットのため忌引休暇
こうした調査結果について、同社は「あまりの悲しさに、『二度と飼わない』と考える人も、『また一緒に暮らしたい』と考える人も、きっと大切なペットととてもすてきな時間を過ごされていたのではないでしょうか」と分析している。
同社は昨年7月から、ペット(犬、猫、鳥、ウサギ、フェレット)と一緒に暮らす社員を対象に特別な福利厚生を導入している。具体的には、ペットを失った社員は、親族と同様に「忌引休暇」(最長3日間)の取得が可能。さらにペットと一緒に暮らす社員に、1年につき2日間をペットと過ごす「ペット休暇」も導入している。
同社によると、制度導入後1年たち、今年7月末までに、対象者約100人中、3人が忌引休暇を、21人がペット休暇を取得し、同社は「有給休暇などがある中、ペットのための制度は活用されている」としている。
ペットロス症候群 ペットを失った(ロス)後、精神や身体に起こるさまざまな症状。ペットとともに過ごし培われた愛情が、ペットの死で突然行き場を失ってしまうことで、引き起こされるとみられている。ショックを感じるのは普通の人なら当然の症状だが、生活に支障をきたすほど深刻な場合もあり、ペットへの依存度が大きい人ほどそうした傾向にある。
情報提供元:ライブドアニュース